乳製品を摂るとお腹がゴロゴロする?「乳糖不耐症」と身体に合う食事の考え方

「健康のために毎朝ヨーグルトを食べている」
「カルシウムのために牛乳を飲んでいる」
「毎日カフェラテを飲むのが習慣になっている」

そんな方も多いのではないでしょうか。

牛乳やヨーグルトなどの乳製品には、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素が含まれています。

しかし、一般的に「身体に良い」とされている食品であっても、すべての人が同じように消化・吸収できるとは限りません。

乳製品を摂ったあとに、

  • お腹がゴロゴロする
  • お腹が張る
  • ガスが増える
  • 腹痛が起こる
  • 軟便や下痢になる

といった経験はありませんか?

その原因の一つとして考えられるのが、**「乳糖不耐症」**です。


乳糖不耐症とは?

乳糖不耐症とは、牛乳などに含まれる糖の一種「乳糖(Lactose)」を十分に消化できず、乳製品などを摂ったあとに消化器症状が起こる状態です。

乳糖を消化するために必要なのが、小腸で働く**「ラクターゼ(Lactase)」**という酵素です。

通常、乳糖は小腸でラクターゼによって、

乳糖 → ブドウ糖 + ガラクトース

へと分解され、身体に吸収されます。

しかし、ラクターゼの量や働きが十分でない場合、摂取した乳糖の一部を小腸で消化・吸収しきれないことがあります。

未消化の乳糖が大腸へ進むと、腸内細菌によって発酵されます。

その結果、ガスが発生したり、腸管内に水分が増えたりすることで、お腹の張り、腹痛、ガス、下痢などの症状につながることがあります。

身体の中では何が起きている?

① 牛乳などから乳糖を摂取する

↓

② 小腸でラクターゼが乳糖を分解する

↓

③ ラクターゼが十分でないと、一部の乳糖が消化されず大腸へ進む

↓

④ 大腸の腸内細菌によって乳糖が発酵される

↓

⑤ ガスなどが発生し、お腹の張りや腹痛、下痢などが起こることがある

つまり、「乳製品そのものが悪い」ということではありません。

大切なのは、自分の身体が乳糖をどの程度消化できるかです。


なぜ大人になってから牛乳が合わなくなることがあるの?

乳児期には、母乳などに含まれる乳糖を消化する必要があるため、通常ラクターゼが働いています。

しかし、人によっては成長とともにラクターゼの活性が低下していきます。

そのため、

「子どもの頃は牛乳を飲んでも平気だったのに、大人になってからお腹が張るようになった」

ということも起こり得ます。

乳糖を消化する能力には個人差があり、遺伝的背景や地域によっても違いがあることが知られています。


アジア人は乳糖を消化しにくい?

乳糖を消化する力には個人差がありますが、地域や集団によって違いがあることも知られています。

特に東アジアや東南アジアでは、成人になると乳糖を十分に消化・吸収しにくくなる人の割合が高いことが報告されています。

日本人の場合

日本人を対象とした研究では、健康な成人18人のうち約89%に「乳糖吸収不良」が認められたという報告があります。

また、別の日本人を対象とした研究では、92%にラクターゼ欠乏が認められた一方、実際に乳糖摂取による症状が確認された「乳糖不耐」は13%でした。

マレーシア人の場合

マレーシアの若年成人248人を対象にした研究では、87.1%にラクターゼ欠乏が認められました。

しかし、乳糖を摂取したあとに実際に症状を伴う「乳糖不耐症」と診断されたのは19.8%でした。

ここで、とても大切なポイントがあります。

「乳糖を消化・吸収しにくい身体であること」と、「乳製品を食べると必ず症状が出ること」は同じではありません。

ラクターゼの働きが低くても、摂取する乳糖の量や食品の種類などによって、症状が出ない人もいます。

そのため、

「アジア人だから乳製品を避けるべき」

ということではありません。

自分が乳製品を摂ったときに、身体がどのように反応しているのかを知ることが大切です。


乳糖不耐症にも個人差があります

乳糖不耐症は「乳製品を食べられる人・食べられない人」と単純に二つに分けられるものではありません。

症状の出方は、

  • 摂取する乳糖の量
  • 一度に食べる量
  • 食事と一緒に摂るかどうか
  • 乳製品の種類
  • その人が乳糖をどの程度消化できるか

などによって変わります。

実際、乳糖不耐症の人でも、少量の乳糖であれば症状が出ない場合があります。

そのため、

「乳糖不耐症だから乳製品をすべて禁止する」

と考える必要はありません。

自分が「何を」「どのくらい」摂ったときに身体が反応するのかを知ることが大切です。


牛乳はダメでも、ヨーグルトやチーズなら大丈夫?

これも人によって異なります。

乳製品には、すべて同じ量の乳糖が含まれているわけではありません。

ヨーグルトや一部のハードチーズなどは、人によっては牛乳より摂取しやすい場合があります。

また現在では、

  • ラクトースフリー牛乳
  • 低乳糖製品
  • 植物性ミルク

など、さまざまな選択肢があります。

「牛乳を飲むとお腹が張るから、乳製品は全部やめる」

ではなく、

自分がどの乳製品なら、どの程度まで摂れるのかを確認する

という考え方もあります。


「身体に良い食べ物」と「自分の身体に合う食べ物」は同じとは限らない

KAMIが今回一番お伝えしたいのは、ここです。

世の中には、

「腸活にはヨーグルト」
「カルシウムには牛乳」
「健康のために〇〇を食べる」

といった情報がたくさんあります。

もちろん、それぞれの食品には栄養的なメリットがあります。

しかし、一般的に身体に良いとされている食品であっても、自分の身体に合っているとは限りません。

食べ物は、口に入れたら終わりではありません。

食べる
↓
消化する
↓
吸収する
↓
必要な場所へ運ぶ
↓
身体の中で利用する

という流れがあります。

だからこそKAMIでは、「何を食べるか」だけではなく、食べたあとに自分の身体がどのように反応しているのかを知ることも大切だと考えています。


毎日の「なんとなく」を一度見直してみる

「身体に良いから」という理由で、なんとなく毎日続けている習慣はありませんか?

たとえば、

「毎朝ヨーグルトを食べているけれど、その後お腹が張る気がする」

「毎日カフェラテを飲んでいるけれど、飲んだ後にお腹がゴロゴロする」

「牛乳を多く飲んだ日は下痢をしやすい」

こうした身体の反応は、毎日の習慣になっていると意外と気づきにくいものです。

そこで、一度、

何を食べたか・どのくらい食べたか・何時に食べたか・その後身体がどう感じたか

を記録してみるのも一つの方法です。

大切なのは、すぐに「これは身体に悪い」と決めつけることではありません。

自分の身体にどのような傾向があるのかを観察することです。


我慢するのではなく、身体に合うものへ置き換える

もし乳製品を摂ったあとに不快な症状が繰り返し起こるのであれば、「好きなものを全部禁止する」のではなく、普段の選択を少し変える方法もあります。

たとえば、

毎日のカフェラテ

牛乳
↓
ラクトースフリーミルク・豆乳・アーモンドミルク・オーツミルク

というように置き換えることもできます。

牛乳そのものが好きな場合には、通常の牛乳からラクトースフリーや低乳糖タイプへ変える方法もあります。

重要なのは、

「我慢する」ことではなく、「自分の身体に合う選択肢を増やす」こと。

ただし、植物性ミルクと牛乳では栄養成分が異なります。

商品によって、たんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどの含有量も異なるため、栄養表示を確認することも大切です。


乳製品を減らすときに注意したい栄養素

乳製品を大幅に減らしたり、完全に避けたりする場合には、

  • カルシウム
  • ビタミンD
  • たんぱく質

などが不足しないよう、食事全体を見る必要があります。

乳製品をやめること自体が目的ではありません。

身体に合わないものを調整しながら、身体に必要な栄養素はきちんと摂る。

ここまでをセットで考えることが大切です。


「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」は別物です

ここは混同されやすいポイントです。

乳糖不耐症は、乳糖を十分に消化できないことによって消化器症状が起こる状態です。

一方、牛乳アレルギーは、牛乳に含まれるたんぱく質などに対して免疫系が反応するアレルギーです。

原因となる仕組みが異なるため、同じものではありません。

また、病院で行われる一般的なアレルギー検査によって、「自分が消化しにくい食品がすべて分かる」というわけでもありません。

乳糖不耐症が疑われる場合には、水素呼気試験など、アレルギー検査とは異なる検査が行われることがあります。


お腹の不調=乳糖不耐症とは限りません

牛乳を飲んだあとにお腹が張ったからといって、必ず乳糖不耐症とは限りません。

ほかの消化器疾患などでも似た症状が起こることがあります。

そのため、症状が強い場合、長期間続いている場合、食事を調整しても改善しない場合などは、自己判断だけで食品を制限せず、医療機関へ相談してください。


KAMIが伝えたい「自分の身体を知る」ということ

健康情報が簡単に手に入る時代だからこそ、

「〇〇が身体に良いらしいから食べる」

だけではなく、

「それを食べたとき、自分の身体はどう感じているだろう?」

と考えてみてください。

身体に良いといわれるものでも、自分には合わないことがあります。

反対に、乳糖を消化しにくい体質だからといって、乳製品をすべて避けなければならないわけでもありません。

大切なのは、誰かの正解をそのまま自分に当てはめることではなく、

自分の身体の反応を知り、自分に合った選択をしていくこと。

KAMIでは、施術を受けていただくだけではなく、身体の仕組みや日々のセルフケアについて知っていただくことも、健康な身体づくりの大切な一部だと考えています。

私たち施術者が身体についての知識を持つことはもちろんですが、お客様自身にも「自分の身体を知る力」を身につけていただきたいと考えています。

施術者による身体のケアと、お客様自身による身体への理解・セルフケア。

その両方を組み合わせながら、KAMIは一時的な身体の変化だけではなく、これから先も自分自身で健康を守っていける身体づくりを目指しています。

まずは今日、

「いつも食べているものを食べたあと、自分の身体はどう感じているだろう?」

と、一度身体に目を向けてみてください。